前回、ヨガを始めた時のお話をしましたがヨガの話パート2です。
ヨガを始めて一年たった頃のことでしょうか?一年にわたるバイク旅も終わりに近づきインドを離れることになりました。
幾度となく読み返したロンリープラネットのインド版。
マイソールはアシュタンガーヨガのメッカであり、行ってみたいなとパラパラめくっていると、ヨガクラスの欄に BNS Iyengar師のクラスを見つけます。
ここ少し紛らわしいのですが、アイアンガーヨガのBKS Iyengar とは全くの別人です。ですが、すごい人であるようで”Living Legend"なんて書かれていて気になったので、どんな先生なのか調べてみました。
BNS師 は、その当時85歳くらいのおじいさんで、現代ヨガの父クリシュナマチャラヤ師の元で5年学び、クリシュナマチャラヤ師がマイソールを離れてからはパタビジョイス師について12年学んだ方で、おそらく今教えているヨガの先生の中で最も経験のある方だということがわかりました。これは一度お会いして教えていただきたいと師のシャラを訪れました。
BNS師は、朝にアーサナのクラス、その後、プラナーヤマのクラス、ムドラーのクラスをそれぞれ1ヶ月のコースで行なっていました。
まずはアーサナのクラスを受けます。
どんな先生なのか少しドキドキしながら初対面を迎えましたが、会ってみるとニコニコされていて、とっても柔和な印象のお方でした。
少し耳も遠いこともあって、とにかくマイペースです。厳格な師匠と言うよりも親しみやすい雰囲気を持った人でした。
BNS師はアシュタンガーヨガを教えておられ、太陽礼拝から始まり決まったアーサナを順番に書いている紙を渡されます。
最初はその紙や周りの生徒を見ながらみよう見まねでアーサナをとっていくのですが、とにかくハードです。
1時間から1時間半ポーズをとりながらずっと動いているようなアーサナです。動きが決まっている分自分では練習しやすいのは良い所だと感じました。
そしてアシュタンガーの特徴的な部分と言えるのは呼吸法です。呼吸と合わせてやるように言われるのですが、ベテラン先輩生徒さんたちの呼吸の音がすごいです。
人間版ダースベーダーのような音を発しています。
喉と鎖骨の交わる部分を意識して呼吸をしなさいと言われるのですが、これがなかなか難しい。ただ意識をすると気管をしっかりと広げた呼吸になるように思いました。
BNS師は、85歳になるので自分でポーズをとったりはしませんがカウントをしながらグルグルと生徒の間を歩き、いきなり「ちがーう。ここはこう」と言ったり、時々「アーサナは、身体を浄化するのです」と言った哲学的なことを言ったりするスタイルです。
何十年とヨガに関わってきた師は、1ヶ月ごときで教えられるものはそんなに多くはないと思っておられるように感じました。
他の先生のように手とり足とり熱心に教えてくれるというスタイルではありません。
しかし、何十年とヨガを学んできた師が発する言葉は、理解ができない部分も多いですが興味深いものがありました。
それから5年後、インドを再訪した時にふとまだ師は教えているのだろうかと思い、調べてみるとまだ同じ場所でヨガを教えていたので、これが最後のチャンスかもしれないとプラナーヤマ(呼吸法)、ムドラー(エネルギーを封印して活用できるようにするためのものらしい)のクラスをとることにしました。
90歳になった師は5年前と変わらず元気にヨガを教えておられました。
プラナーヤマやムドラーはアーサナよりも座学が多くなり、黒板に書きながら教えてくださいます。
師曰く「プラナーヤマは魂の教育です」
「プラナーヤマをすることは、時間と死を征服することです。」
「時間とは何ですか?死とは何ですか?」
と何だか迷宮に入ってしまいそうな講義です。もちろん実際のプラナーヤマの方法も教えてくれます。
ほとんど理解できてはいませんが、ヨガ哲学の話を聞くのがとても楽しく興味深かったです。
師はブラーマンであり、ヒンズー教についての知識も豊富です。ヨガにつながるインドの伝統的宗教の側面も感じることができ、とても貴重な経験をさせてもらいました。
現在は、95歳になりましたがまだ教えておられるようです。
驚くことにオンラインでプラナーヤマを教えておられるようですね。
七月はもう始まってしまってみるみたいですが、八月もやるなら久しぶりにやってみようかな。毎週土曜日で月4回で25ドル。自宅にいながらにして、インドの師の授業が受けられるってすごいことですよね。
色々大変なコロナではありますが、良い副産物もあるものです。
伝統的なヨガを習いたい方は是非。