今から15年前のこと。
ナマ子は、陸路でどこまでいけるか?というテーマで船で中国に渡り、アジア横断、ヨーロッパ横断を経て正月過ぎの、寒い寒い、モロッコのシャフシャウエンという青で包まれた街にたどり着きました。
そこで同じ宿に泊まっていた、モモちゃんという女性に出会います。
彼女は中央アジア横断、ヨーロッパ横断をヒッチハイクしてきた強者.
ご飯を食べに行ったり、シャウエンの街を一緒に散歩したり、川の洗濯場が見えるオープンカフェで、ガラベーヤを着たおじさん達に混じって、あんまいミントティーをすすったりしてるうちに仲良くなって一緒に旅をし始めました。
私は、アフリカの音楽に興味があってセネガルを目的地にしていたのでとりあえずそこまで一緒に行く事にしたのです。
私にとっては、初めてのヒッチハイクの旅でドキドキワクワクしながら親指をたてて車に視線を送ります。
すぐに止まってくれることがあれば、一日中止まってくれないところもあったし、そもそも車が20分に一本くらいの割合でしか通らない道もありました。
アフリカ人と一緒に荷台に乗ることもあれば、冷房のきいたランクルに乗せてもらえることもあります。本当に運に任せた旅であったと言えるでしょう。
トラックにはよく乗せてもらいました。
きっと話し相手が欲しいのだろうと思い、慣れないフランス語を駆使してたくさん話し、楽しい時間を過ごした思い出があります。トラックから見える少し高い位置からの視点、ゆっくりどっしりと進む速度も好きでした。
今日どこまで行けるのか、どこに泊まる事になるのかわからないまま、ただ風に流されるように旅をするのがその時の私にはぴったりの感覚でした。心配性でもあるのですが、それを乗り越えていく感じが、好きでもあります。
目的地のセネガルに入り、モモちゃんとの旅ももう終わりかあとやや名残惜しく思っていたところ、バンコクで待ち合わせをする予定だった彼氏に振られました(泣)
モモちゃんが「一緒にアフリカ一周しようや」と誘ってくれ、半ばやけくそになってアフリカ一周の二人旅が再スタートしたのです。これも何かに導かれた運命だったのかもしれません。
西アフリカでは宿のないところや、宿が少ないがゆえに高いところが多く、出会った人の家に泊めてもらうこともあったし、テントを持っていたので庭にテントを張らせてもらえないかと頼んだこともありました。
普通の人々の生活を直に体験することができた良い体験でした。
そりゃ物があったら良いこともたくさんあるだろうけれど、水と食料さえあれば何とかなるというのを身をもって学びました。
「必要は発明の母」なんて言葉がありますが、使われなくなった車のタイヤを利用したサンダルを履いてる人がいたり、空き缶でランタンのような物を作ったり、泥で自分の家を作ったっていう青年もいました。ある物を修理して本当に壊れるまで使う、壊れてても使う。
知恵を使って欲しい物を作り出すのが逞しいなと感じました。
ゴレ島で、庭にテントを貼らせてもらいました。
女二人でヒッチハイクをして危なくないのかとよく聞かれましたが、そんなに危ない体験はなく旅をすることができました。
あえて言うならモロッコで乗用車に乗る男の二人組をヒッチハイクしたのですが、楽しく会話をしていると海に連れて行ってくれたり、レストランに連れて行ってくれたりしました。時間が経つにつれ男達はどんどん酔っ払っていきました。なんだか不穏な雰囲気を察知して、二人で逃げ出したなんてことがありました。
イエメンや南アフリカでは、地元の人に危ないからヒッチハイクはやめた方がいいと言われ、バスを使って旅をすることもありました。
また西アフリカではあまりに車がないことや、わずかでも地元にお金を落とした方がいいと思い、途中でバスでの旅に切り替えたりもしました。
ヒッチハイクは、素晴らしい出会いを生んでくれる一方で、危険察知能力を敏感に働かせないと大変な事になる可能性があります。
少しでもおかしいと思ったら降りる。
降りる所を選べるなら、人の多い所を選ぶ。
ヒッチハイクにこだわりすぎない。これをしていたから、そこまで危険な目に合わずに済んだのかなと思っています。
長い時間一緒に過ごすと現地の人ともいろんな話をします。
セネガルのダカールで友達になった27歳の弁護士を目指す青年が
「もう人生の半分くらい過ぎてしまったのに、まだ学生なんだ。」なんて言葉を聞いた時に、アフリカ人の寿命は短いとは知っていたものの自分より少し歳上の彼がそんな気持ちで人生を過ごしているのかと思うと驚きました。
ナミビアでキヨスクにテントを張らせてもらった時、そこで働く女の子3人組と恋バナをしていると、
「HIVが怖い。彼氏と一緒に病院に検査に行っても、その後彼が誰と寝たかなんてわからないし、いつ感染してしまうかと思うと不安なの。」なんて話が飛び出します。
アフリカはエイズ感染者が多いという知識はあリました。でもそこで暮らす人の声を聞くとまた違った感覚になるのです。
旅って生きた学校だななんて思います。
今まで興味のなかった事に急に興味が湧いて調べたり、聞いてみたり、やってみたり。
アフリカというと、貧困だとか感染病、厳しい環境だとか暗いイメージを持つ方が多いのではないかと思いますが、アフリカ人は明るくてとても楽しい人たちで、あのサバンナのどーんとした感じや、トウモロコシ畑に蛍が光り、空には無数の星がキラキラしている風景、時々大型の野生生物に遭遇することも伝えておきたいです。
ある時アフリカ人の友達と街を歩いていると、アフリカ人の友達が他の誰かから話しかけられて、ハローから立ち話になり腹を抱えて笑ってから私たちの横に帰ってきました。
「友達?」って聞くと
「初めてあったけど、みんな友達だよ」とかね。
子供たちが外国人の私たちを見て集まってくるが、言葉は通じない。そんな時誰かしらが歌い始めて子供達みんながそれに合わせて踊り出すのです。それで、私達も子供たちも笑顔になって、楽しい時間を過ごしたこととか。
モモちゃんは舌にピアスを開けていたのですが、時々舌をベーっと出してそのピアスを見せるとアフリカ人達の反応は本当に面白い。「ひゃー」とか言ってジロジロと舌を眺めます。いくつになっても子供のような反応が返ってきます。
アフリカ人は、楽しむことの達人だと思います。
今回は、ヒッチハイクでの旅についてお話ししましたが、旅の仕方は十人十色。
歩いて旅をする人、バスで旅をする人、車で旅をする人、自転車、バイクで旅をする人、飛行機で旅をする人、バスキングをしながら旅をする人、何かを習うために旅をする人、住みながら旅をする人、最近ではブログ、YOUTUBEをしながら旅をする人旅をする手段も沢山あるし、目的も沢山ある。
同じ場所でも見える景色が違ってくるでしょう。
出会う人も違えば、感じ方だって違うし、一つとして同じ旅ってないですよね。
旅って面白い。
旅人は、変わってる人が多い(日本側から見ると)。それは、仕方のないことである。
でも、旅人は好きですよ私は。